『昭和50年代までは、まだ品種育成が行われておらず、今のような新品種は、ほとんどありませんでした。なぜなら“桃栗3年、柿8年、柚子は16年”と我々は言っていますが、中晩柑は、成熟に時間がかかるため新品種ができるのは、ほとんどが突然変異だったからです。それが昭和53年に、単胚性の「清見」が登場してからは多くの新品種が出てくるようになりました。そんな中、1990年に紅まどんなの初成りができました。最初は小さかったのですが、接ぎ木をして育成したところ、味・食感が良く、種がなく食べやすい品種だとわかりました。両親を超える品質のものは、なかなかできないのですが紅まどんなは、飛びぬけて良かったと思います。品種として優れているところは、中晩柑としては世界的にみても成熟が早く、年内に収穫できるところです。お歳暮ギフトとして人気商品になったのも、この成熟の早さがあったからだと思います』
ここ数年で、紅まどんなの評価が高まっていることも開発に携わった1人として喜んでいると話す、愛媛県農林水産研究所の喜多さん。このように、味や形はもちろん、売れる時期や作りやすさなど作り手のことを考えながら、長い年月をかけて品種開発は行われているのです。
紅まどんな以外にも多くの品種開発に携わっている愛媛県農林水産研究所の喜多さん
「甘平」は、その名の通り実が平らなのが特徴です。大ヒット商品となった「紅まどんな」と並んで愛媛県オリジナル柑橘の中でも自信作だと思います。
薄い果皮には果汁が少ないので、むきやすく、手がよごれにくいのに、ぎっしりと詰まった実には果汁が多くて、つぶつぶとした食感や香りが楽しめます。
だから、柑橘が苦手…という人にこそ、一度「甘平」をおすすめしたいですね。この食べやすさは、今までの柑橘にはない、新しい発見だと思いますよ。
多くの品種開発に携わっている愛媛県農林水産研究所の喜多さん